2006年6月1日

国民保護協議会を傍聴(6/4加筆)

芦屋市の「国民保護協議会」を傍聴してきました。
この協議会は「国民保護法」にもとづいて、各自治体がそれぞれの「国民保護計画」を作成するためにひらかれるものです。

「武力攻撃事態等」が起こったときに「国民を保護する」ための法律とはいうものの、人権を保障する具体的な手立てが不十分だと、日本弁護士連合会などからも懸念が表明されているもの。

芦屋市の協議会では、
「武力攻撃事態等は国の外交の失敗によって起こるもので、事態発生に市の責任はない」
けれど、市民の安全について市は責任を負わなければならないと事務局側が説明していました。


ところで、芦屋市は「芦屋国際文化住宅都市建設法」*1
「国際文化住宅都市として外国人の居住にも適合するように建設し、外客の誘致、ことにその定住を図」る
ことになってます。

また、1985年には市議会が「非核平和都市宣言」*2を決議しています。
「戦後いくたびか、
平和を願う人類の理性と決意は、
核兵器の使用と核戦争を防いできました。
わたしたちは、この理性と決意を信頼し、
かけがえのない生命の星、青く輝く地球を
笑顔にあふれる子供たちに残すため、
いまふたたび、心をひとつにして
核兵器を廃絶するよう、全世界によびかけます。
そして、国是である非核三原則の厳守を
強く希望するとともに、
わたしたちの街・芦屋をいかなる形であろうとも
核兵器に関連して使わせないことを自ら決意し、
ここに非核平和都市であることを宣言します。」

自然災害ではないんですから、芦屋市としても「国が外交上の失敗を起こさない」よう、積極的に行動することが求められるし、せっかく定住・来訪してもらった外国の人々も含め、市民の人権が侵害されることのないような計画をつくらなくてはならない*3のではないでしょうか。

それにしても... 計画作成までの協議会開催はたったの3回(あと2回)です。9月の第2回協議会には「素案」が提案され、10月に市民への説明・意見募集をしたあと、来年1月の第3回協議会でもう計画を確定してしまうというスケジュールです。これで十分な議論ができるのか心配*4です。

5月31日の第1回協議会は、事務局(市)側からの説明ばかりで、委員のみなさんからの質問・意見は2件(「協議会の内容をそれぞれの団体で議論してもいいか」「資料の扱いは」)だけでした(それぞれへの市長の答弁は「各団体で議論してください。必要であれば説明にうかがいます」「資料はすべて公開です」でした)。この日、傍聴者には資料が配布されませんでしたが、このような答弁がありましたので、会議終了後、この日委員に配られたすべての資料の提供を事務局に申し込みました。

いずれの市町村でも、国民保護協議会は一般の審議会と同様に「原則公開」「傍聴可」になっていると思います。気になる方はぜひ、お住まいになっている市町村に問い合わせて、傍聴してみてはいかがでしょうか?

*1 憲法95条に基づく「特別法」なので、1951年制定のときは住民投票を経ているはず。最終改正は1999年。いまも生きている法律です。
*2 全文は:http://www.city.ashiya.hyogo.jp/peace/index.html
*3 自治体の計画作成は法で義務付けられているので、「いらん」とはいえなくて...
*4 一昨年、「次世代育成支援対策行動計画」を作成したときは、事前にアンケート調査もし、5回の地域協議会と5回の原案策定委員会をひらいてます(さらに行政側だけの会議も数度ひらかれています)。それでも表面だけをさらっとさわったような議論しかできず、とても残念でした(私は地域協議会に参加してました)。それと比べても、「国民保護協議会」の開催回数はちょっと少なすぎ?



市町村が独自に基本的人権を尊重した計画を作成することは可能だし、法的には計画作成の期限は定められていない

兵庫県弁護士会は、兵庫県の国民保護計画作成にたいして、昨年3月と7月に「意見書」*5を県に提出しています。その中に、見出しのようなことが指摘されていました。

そうなんだ! 計画作成は義務づけられていても、もっとじっくり・たっぷり・おおぜいで議論を重ねて、憲法で保障された基本的人権を尊重した計画をつくることは、自治体で、もちろん芦屋市でも可能なんですね。

*5 昨年3月の意見書:http://www.hyogoben.or.jp/img/kokuminhogo.pdf
 昨年7月の意見書:http://www.hyogoben.or.jp/img/kokuminhogo050722.pdf
 今年1月の会長声明:http://www.hyogoben.or.jp/ketsugi/20060123.htm

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