2006年6月20日

1972年

小川洋子さんの『ミーナの行進』 *を読みました。
1972年(学校のひとくぎり)にはずいぶんいろんなこと**が起こったんですね。
私はミーナと同学年。語り手の「私」は1学年上ですね。『ミュンヘンへの道』も見てましたし、ジャコビニ流星群の夜も曇り空をながめてました。ただ、芦屋じゃなくて、六甲山の裏側をむこうの方にながめる小さな谷にいたのですが。
それにしてもこの小説には本への愛情があふれてますよね。主題はこっちの方じゃないかと思うぐらいです。

なんといっても私の好きなのは、「印刷間違い」をひたすら探す「伯母さん」。
「見つけるとどうなるの?」
「……別に、どうにもならない」
「分厚い本一冊を何日もかけて調べて、結局一つも誤植が見つからないこともある?」
「もちろん。滅多には出会えないのよ。宝石を掘り出すみたいなものね」
そして、ミュンヘンオリンピック・バレーボール準決勝戦……

こんなにも美しい「印刷間違い探し」さんを描いてくれた小川さん、ありがとう!


*2006年4月, 中央公論社刊(2005年2月12日 - 12月24日の毎週土曜日の「読売新聞」に連載
**この小説には触れられていない出来事も多数です。思い出せますか?
***写真は本の挿画にも使われている寺田順三さん作のマッチ。いっしょに写りこんでいる銀色のものは……

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