2009年7月22日

部分日食:なんとか見えた

今日は曇りでだめかな?と思っていたら、だんだん雲が薄くなってきました。厚い雲、薄い雲が通りすぎ、見えます! 見えた!

ちょうどよさそうな雲を待って、コンパクトデジタルカメラで撮ったのが上の写真。肉眼でも欠けているのが見えてます。食の最大時刻の10分前、10:56分のものです。


ところで、子どもたちに見せようと、朝からピンホールカメラ*を作ってました。(日食グラスは買いそこねたんです)。

これです。先週、リビングの蛍光灯が壊れてしまって、新調した、その空き箱でちょちょいと作成。直径1mmほどのピンホールで、焦点距離 :-) は600mm。太陽の像は直径3mmぐらいにしかなりませんが、それでも欠けているのは判ります。晴れていれば、もっとくっきり見えだろうな...

太平洋上からの皆既日食中継にはとても及びませんでしたが、子どもたちもちょっとは“感動”してくれたかな?



*Nikon COOLPIX P60, 電子ズーム4倍で35mm判換算720mm, F=10.9, S=1/800, ISO 80
*2012/2/11追記:ピンホールカメラの作り方は国立天文台サイトに説明があります。
 http://www.nao.ac.jp/phenomena/20120521/obs.html


2009年4月20日

マルクスが「直線形」と書いているもの(メモ)

K. Marxが、「複雑なものを評価する際にはより単純な共通要素に還元して考える」例として、多角形の面積の測定法をあげていますが、そこを、日本語訳では「多角形」ではなく「直線形」と訳しているものが多いようです。

『資本論』第1部(1867):第1篇第1章の8段落目:
Ein einfaches geometrisches Beispiel veranschauliche dies. Um den Flächeninhalt aller gradlinigen Figuren zu bestimmen und zu vergleichen, löst man sie in Dreiecke auf. Das Dreieck selbst reduziert man auf einen von seiner sichtbaren Figur ganz verschiednen Ausdruck - das halbe Produkt seiner Grundlinie mit seiner Höhe. Ebenso sind die Tauschwerte der Waren zu reduzieren auf ein Gemeinsames, wovon sie ein Mehr oder Minder darstellen.
『賃金、価格および利潤』(1865):「6」の4段落目:
To elucidate this point I shall recur to a very simple geometrical illustration. In comparing the areas of triangles of all possible forms and magnitudes, or comparing triangles with rectangles, or any other rectilinear figure, how do we proceed? We reduce the area of any triangle whatever to an expression quite different from its visible form. Having found from the nature of the triangle that its area is equal to half the product of its base by its height, we can then compare the different values of all sorts of triangles, and of all rectilinear figures whatever, because all of them may be resolved into a certain number of triangles.
原文ではたしかに「直線的な図形」となっていて、現在の中学、高校で使う用語「多角形」=「polygon」とはなっていません。「直線形」も「多角形」も数学の概念としては同じものなら、より現代的な「多角形」と訳した方がいいのではと思い、根拠づけの糸口をみつけようと、とりあえず、googleで検索をしてみました。

キーワード「直線形 多角形 数学 用語の変遷」の検索結果の中に、
(三重大学教育学部研究紀要 vol.46 教育科学(1995)pp. 63-77)を見つけました。

論文の主題とは違うのですが、引用文から用語の変遷:「直線形」→「多角形」を調べる糸口がありました。こんな具合です...
1875英国の幾何学教授法改良協会
    『平面幾何学教授條目』
1884-8改良協会
    上記『条目』に準拠して教科書
1888-9菊池大麓
    『初等幾何学教科書』
     ・改良協会の教科書に拠る
     ・用語「直線形」を使用
      (1898年の第10版も同様)
1902文部省(大臣は菊池)
    『中学校数学教授要目』(★)
     ・用語「直線形」を使用
1904林鶴一
    『新撰幾何学教科書』
     ・用語「多角形」を使用
1915菊池
    『幾何学新教科書』
     ・用語「多角形」を使用


★『中学校教授要目』(明治三十五年文部省訓令第三号)は国会図書館デジタルコレクションにありました。この「第三 幾何」/「第四学年」/「面積」の項に
   直線形ノ面積ノ等同」
と記載されています(p. 115上段)。

Marxが「直線形」と書いているところは、字面にこだわらず、現在なら「多角形」と訳すほうが、学校で習った用語と一致して、分かりやすいと思うのです。

2009年4月9日

Word|PowerPoint文書から写真を取り出す

写真をWordやPowerPointファイルに貼り込んで出稿してくれる人が未だに少なくなくありませんが、ただコピペしただけでは、解像度の低いものしか得られません。

しかし、WordやPowerPointは、写真など画像をもとのサイズ(ピクセル数)のままファイルに埋め込んでいるらしいのです。

旧版のPowerPoint文書(ppt)の場合、
  • 1) いったんOffice2007以降の新形式「pptx文書」として保存
  • 2) それをunzip
  • 3) できた「ppt」フォルダ中の「media」サブフォルダの中を探す
...ありました。たぶんこれがもとの写真データ!

同様に、旧版のWordの場合、「docx文書」として保存して、unzip。


新版のPowerPoint文書(pptx)、Word文書(docx)の場合は、そのままunzip。



なお、unzipは、unix使いには言わずもがなですね。MacOSX使いもTerminalの使い方を覚えましょう。Windowsな人は、pptx文書・docx文書の拡張子を「.zip」に書き換えればいいですよ。

2009年4月2日

漢文を習う

ラテン語は、その文法の美しさにひかれて、ここ3年ほど独習してました。とりたてて読みたい作品があったわけでも、古代史に興味があったわけでもないのです。

逆に、漢文は、文法はあまり面白そうでもない(演繹的にはできていないようですよね)のですが、読みたいものがたくさんあります。「老子」「荘子」はもちろんですが、「論語」だって読みたい。
それに、美術館でみる書画の詩、讃が読めないのも恥ずかしい(いわゆる日本漢文なのでしょうけど)。

というわけで、泉井久之助『ラテン廣文典』の文法編もいちおう終えたので、こんどは漢文を習い始めました。あいかわらず、通勤電車の中での「独習」です。小川環樹・西田太一郎『漢文入門』(岩波全書)を読んでます。


漢和辞典は重いので、適当な小辞典はないかと捜して見つけたのがこれ。

田中慶太郎編訳『支那文を読むための漢字典』。1940(昭和15)年から版を重ねているものですが、この書名、現代ではちょっと物議を醸さないかな。


でも、持って帰ったら、小川・西田・赤塚『新字源』とたいして変らぬ大きさ。(『新字源』がとってもコンパクトだってことですが)











とあるSNSのために「本」と「読」を引いてみました。

書籍・図画・碑帖をみな本といふ。
文籍を諷誦するをみな読といふ。一字一句に就きて細心に誦過するを謂ふなり。
ふむふむ、音読が基本なんですね。しかも、一字一句細心にと。心しておきましょう。

ところで、この字、新字体では「言へんに売」ですけど、そう教えてはならぬ、と言ってますね。
  • 「読」では、右の「士」と「貝」の間の部分は「に従う」とあります。
  • 「売」の項には、同じ部分は「に従う」とあります。
違う字なんですね。なるほど、なるほど... :-)


* その次の行の「...に人はず」は、象嵌校正の失敗でしょうね。
** 「あみがしら」の一形態です。フォントによっては正しく表示されないかもしれません。

2009年3月10日

偶然の祝福…ではなく。いや、そうかも…

きのう、母方の伯父の通夜にいってきました。 

片道小一時間かかる電車の中で、いま読み続けている泉井久之助『ラテン廣文典』を開いたら、例文が… 
   Nemo mortem evitare potest. 
 ネーモー モルテム エーウィーターレ ポテスト。
 何人も死を避け得ない。
  … 
 Quis mortem evitare potuit ? 
 クィス モルテム エーウィーターレ ポトゥイト? 
 誰か死を避け得たか? 

 享年88歳。正月から体調を崩したものの、入院することもなく、うちの畳の上で旅立ったそうです。いまではめずらしい最期かもしれませんね。私の実家では、曾祖母がそんな風に亡くなったけれど、その後は祖父も祖母も病院で、いっぱい管を付けられて息を引き取りました。 

 今日のお葬式には行けなかったので、埋葬はどうしたのか知りませんが、伯父のうちや、うちの実家のあたりは、とても古風で、まだ土葬をしているところもあります。 私もできれば、この伯父のようにと思いますが、かなわないでしょう。 

で、通夜のあと、例のごとく徹夜をすべく、職場へ戻る電車の中で開いた『ラテン廣文典』の例文は…
   Quae gloria est miseriae pauperum illudere ? 
 クヮェ グローリア エスト ミセリアエ パウペルム イッルーデレ? 
 貧しき人々の困窮を弄ぶとは何の栄誉ぞや? 

 現実の世界に戻ってきました。「大企業」という名の栄誉をもつものの横暴と闘わねばなりませぬ。

2009年1月7日

謹賀新年



「なにが『めでたい』ねん!」とお叱りをうけそうな今年のお正月ですね。
でも、力と知恵を合わせて『めでたい年』にしましょうよ。
...てなことは全然書いてない、年賀状です :-)

  • 充棟汗 長年、憧憬してきたところではありますが、住宅事情、経済事情が許しませぬ。仮令、これらが解決するとも、これからどれだけ読めるものだか。
  • 飲馬食 斯くも喰ろうてはおりませぬ。されど何故メタボに?
  • 鶏口 頭やないと、あかんのかいな。不当な評価はごめんやけど、尻尾にも尻尾の沽券があるぞかし。
  • 喘月 そういえばそうだな。もう幾許か果敢かつ気楽に生きてみましょうか。