2023年7月23日

中国語の句読点


中国語の句読点が面白い。台湾の縦組ではコロンとセミコロンは立てるんだな。


小学館『中日・日中辞典』の付録「文章記号の使い方」によると:
分号 fēnhào  セミコロン
①複文中で並列された節の間のポーズに用いる.
②因果関係や逆接関係など,時には並列でない節のポーズにも用いる.
③列挙した各項の間に用いる.
冒号 màohào  コロン
①呼びかけ語の後ろに用いて,次の文を提起する.
②“说”“想”“证明”“例如”などの後ろに用いて,次の文を提起する.
③総括的な語の後ろに用いて,以下でさらに細かく提示する.
④解説が必要な語の後ろに用いて,説明を引き出す.
⑤総括的な語の前に用いて,上述の内容の総括をする.
このセミコロンの用法はうらやましい。日本語には読点(、)しかなくて、どこまでが節なのか不明瞭だし、そのために文意もあいまいになっていることがある。

ところで、
逗号 dòuhào  カンマ
文中のポーズに用いる.(文内部の主語と述語の間,動詞と目的語の間,連用修飾語の後ろ,前置された熟語の後ろ,後置された連用修飾語や連体修飾語の前など) 
顿号 dùnhào  読点
文中で並列された語句の間に用いる.
となっている。中国語での「逗号(,)」の用法は、日本語での「読点(、)」にあたるのだから、中国語の「顿号(、)」にこのように「読点」と訳すのは困るな(辞書本体の「顿号」項でも「読点」としている)。

中国語での「顿号(、)」の用法は日本語での「中黒(・)」なのだから訳語としては「並列点」ぐらいがいいのでは。


写真は『胡適文選』の1979年、(台湾の)遠東図書公司版。『胡適文選』は、汲古書院の『胡適 政治・学問論集』(本文組版は窮狸校正所)を編訳された佐藤公彦先生による翻訳が平凡社東洋文庫に入っている。