2010年7月26日

中山岩太とル・コルビュジエ

中山岩太氏は《福助足袋 1930年》で、1930年、朝日新聞社主催「第一回国際広告写真展」の一等を受賞していますが、その時の講評が芦屋市立美術博物館の「モダニズムの光華 芦屋カメラクラブ」展(2010/4/17-6/20)に展示されていました。
最も純粋的広告写真の本格に叶って居り、商業美術の合理的態度を示してゐる。それ故、この写真の立場は尖端的にはル・コルブジエの機械的合理的精神にも適応し、東洋画の風格的精神にも合流し得るものであることが顕示されてゐる。
執筆者名は展示された状態からは見えませんでした。

ところで、「ル・コルブジエ」というのは建築家ル・コルビュジエ(Le Corbusier)氏のことですね。Wikipediaによると、ル・コルビュジエ氏の歴史的功績は「鉄筋コンクリートを利用し、装飾のない平滑な壁面処理、伝統から切り離された合理性をモットーとしたモダニズム建築の提唱」。芦屋市立美術博物館近くに展開するシーサイドの高層住宅群もその流れを汲むものでしょう。

しかし、中山氏のこの受賞作への「機械的合理的精神にも適応し」という評価には、ちょっと違和感を感じます。受賞作のニュープリントは「渋谷文化PROJECT」のカルチャーニュースに掲載されています。他の作品もそうですが、「機械的」というよりもずっと「情緒的・ロマンチック」だと思うんですが... 当時は「機械的」というのがかっこよかったんですね。

ところで、ニュープリントは芦屋市立美術博物館で展示されていたのも「渋谷文化」カルチャーニュースに掲載されているのも、足袋の底がすこし黒ずんでいますが、講評といっしょに掲載されていた印刷物では諧調が単純化されて、すっきりした印象になってました。ていねいな研究をふまえてこのニュープリントになったのでしょうけれど...

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