2010年7月3日

選挙についての無用の詮索

ここ何回かの選挙では「マニフェスト」なるものを民主党、自民党など、「二大政党指向」というか、大洋の向こうの「正義の国」に憧れる諸政党が競ってきたが、今回の参議院選ではちょっと違ってきた。

みんなの党は「アジェンダ」、日本共産党は「選挙公約」と呼んでいる。


ところで、「アジェンダという言葉は、ラテン語の動詞「ago 為す・行う」の受動分詞中性複数主格形「agenda」らしい。つまり「為さるべき事ごと」。みんなの党が選挙後、このアジェンダにどう取り組むかは別として、選挙公約の名称としては、誠に妥当であろう。

ところが、「マニフェスト」という語もラテン語「manifestus」の中性単数奪格の副詞的用法に由来するらしいのだが、manifestusは「manus 手+*fendo 打つ」=「手で打たれた」→「手応えのある」→「明らかな」という意味であるから、「manifesto」は「宣言」という伝統的な訳が、やはり妥当であろう。つまり、マニフェストという語の語義自体には、その文書の内容を実行するかどうかということまでは、本来、含まれていない。「表明するだけで十分なのである。

民主党が、そこまで深く「マニフェスト」という語の意味を掴んで、この間の国政選挙で使ってきたのだろうか。私は、きっとそうだと思う。なぜなら、民主党が過去のマニフェストの「実行」にあまり熱心そうには見えないからだ。



以上、無用の詮索であるし、ラテン語文法・語源論も生兵法の謗りを免れぬものである。
笑って読み捨てられたし。

従来の自民党政治、とくに近年の構造改革路線で苦しい目にあわされてきた労働者、地方の要求が民主党のマニフェストに反映したし、政権交代も実現した。その後、そういう政治の変化に危機感を抱いた、大企業・財界とアメリカ合衆国政府が巻き返しにでたのが、この間の民主党の政策的右往左往、マニフェスト違反のほんとうの原因なのだそうだ。



:これは英語訛。“正しい”片仮名表記は「アゲンダ」である。

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