U = (11/1000) inch = 0.2749 mmなのです。そのためInDesignで組版する際、下のように半端な値で指定しなくてはなりません。
- 文字サイズ:12 U = 13.411 Q
- 行間:6 U = 6.706 H (行送り:18 U = 20.117 H)
[←図1]
ところがこのとおりに*フレームグリッドを設定しても、最後の行に文字が入らないまま、次の段に流れてしまうのです。
* 実は、後述のようにこのとおりではなかったのです。
フレームグリッドは25行分あるのに、24行目までしか入りません。
(画像をクリックしてみてください。大きく表示されます)
フレームグリッドは縁をマウスでつかんでドラッグすると1行ずつ増減しますが、このフレームもそうやってつくったものです。
コントロールパレットを見ると、フレームグリッドの横幅(W) は 124.054 mm になっています……
この記事を書き出した当初は、次のように単純に考えていたのですが、フレームグリッドの設定での別の問題に気付きました。
文字サイズと行送りから25行分の横幅を計算すると:
横幅 =( 20.117 × 24 + 13.411 ) H0.0008 mm 横幅が不足しているので、25行目に文字が入らないのです。
= 496.219 H = 124.0548 mm
[←図2]
そこで、コントロールパネルで横幅を修正してやると...
[←図3]
25行目に文字が入ります。コントロールパネルでは、横幅(W)が 124.055 mm になっています。
さて、記事を書いているうちに気付いた、その真相は……
実は、UからQ(H)への換算は小数第4位まで使って指定していたのです。
つまり、[図1] のフレームグリッドの設定の際、実際の入力は、
- 文字サイズ:12 U = 13.4112 Q
- 行間:13.4112 H / 2
しかし、InDesignは小数第3位までしか表示しませんので、[図1] では、あたかも小数第3位までの精度で入力・指定されているように見えているのです。
この精度で25行分のフレーム幅を計算すると:
フレーム幅W = ( 13.4112 ÷ 2 + 13.4112 ) × 24 + 13.4112 Hとなります。このWの値を丸めたものがコントロールパレットでの表示([図1] を拡大して見てください)「124.054 mm」と一致していますから、InDesignはこの精度で計算してるんだろうと思われます。
= 496.2144 H = 124. 0536 mm
では、なぜ25行目が入らなかったか...
ここに適用した段落スタイルでの数値の精度が小数第3位までだったのです。この精度で、(フレームではなく)段落の横幅を計算すると上に書いたように:
段落幅 = ( 6.706 + 13.411 ) × 24 + 13.411 Hとなり、フレーム幅Wよりも大きくなるので、25行目が入らないのです。
= 496.219 H = 124.0548 mm
なお、段落スタイルで、文字サイズを小数第4位まで入力し、行送りも計算式で入力すると、段落横幅がフレーム幅Wと一致するので、25行目まで入ります。
つまり、InDesignで長さを指定する時は、その精度をそろえておかないと、齟齬が生じるということなんですね。
新聞以外では U単位なんて使わないから、他の分野の組版では、ほとんど問題にならないんでしょう。(うちの編集部にしても、もはや新聞専用のシステムは使っていないのですから、U単位を使い続ける意味はないということでしょうね。やれやれ!)
U単位の仕組みは不案内ですが、ポイントでも問題になるかもしれませんね。1P=0.35146...ですから、活字をポイント指定、文字枠をミリで指定すると、齟齬の発生が危惧されます。整数でない単位からのミリ指定はおそらく「切り上げ」が原則かもしれません。ポイントもDTPでは0.3528ミリに措定して、小数第3位と4位を切り上げて処理するようです。いずれにせよ級数指定であればその不安から解放されますね。初めての投稿です。よろしく。
返信削除↑ ひょっとしてK先生ですね? コメントありがとうございます。
返信削除InDesignのフレームグリッドは日本語版独自のものなんだそうです。英語版だと内部の計算もDTPポイント(1/72 inch)でやっているんだろうと思うんですが、日本語版ではどうなっているんでしょう? 内部計算を級・歯でやっているんでしょうか、それともいったんポイントに換算してやっているんでしょうか? 級・歯の方がデフォルトになっていて、使用上、誤差を感じることはありませんから、環境設定で内部計算の単位も切り替えているのかもしれません。
それにしても、今回、てこずったのは、設定パネルの表示が小数第3位までで、内部ではそれより高い精度の数値になっているのか、表示どおりの精度なのか、見た目では区別がつかなかったことでした。
これのマニュアルはとても読みにくい(大阪編集教室の実習にこんな文章を出したら、みんなに袋叩きにあうでしょう)のですが、どこかに、数値や計算の精度について断り書きがあるかもしれませんね。