幹線道路から右へそれると、ごく緩やかな登り坂。
車は通らない。舗装もされていない。道の両側は畔のようにきれいに刈ってある。
明るい穏やかな陽がさしている。
坂のてっぺん(あまり緩やかなのでてっぺんともいいにくいけど)の右側に参道の入り口がある。尾根が平地に降りきるその少し上を横ぎる形で坂道が通っていて、その尾根にそって参道が登っているわけだ。
参道の入り口には灯篭や松並木があるだけで、鳥居や山門はない。お寺なのかお宮さんなのか分からない。
……これもいつだったか、うたたねで見た夢。ここには行ったことがない。どこなのか、それすら分からない。夢では坂道の途中から参道の方を眺めているだけ。その明るい陽の中でぼんやり喜んでいる。
ひいおばあさんが古布などを入れていたみかん箱ほどの木箱に、高野山だろうか、お寺がいくつもある山の絵が貼ってあった。その中の道なのかもしれない。
……いつか私がその参道を登っていく日が来るんだろうな。向こうで母が待っているかもしれない。
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