2006年4月20日

悩ましい字体:難儀な事態

小川洋子さんのエッセイ集『犬のしっぽを撫でながら』*がでました。

*2006年4月10日第1刷, 集英社


内容については別の機会に書きますね。



それより、変なことが気になりました。右の写真は66ページの1行目と2行目の一部分です。「篇」の字面が下がり過ぎてませんか?

たぶん、本文のフォントには「篇」の“戸”の1画目が左下がりになっている異体字がなかったんでしょうね。それで、別のフォントから切り貼り(?)したんでしょうか。

57ページでは、同じ異体字を使っているのに、字面は下がっていません。
そんなところもありますが、おおむね、JISにない旧字体が使われているところで、字面の位置がおかしくなっています。


下の4つはこのエッセイ集からではなくて、私が小塚明朝で印字したサンプルです。
OpenTypeフォントには小塚明朝のように、s/
同じ区点位置**に複数の異体字を収録したもの
/異体字の置き換え情報をもったもの/があります。どの字体を使うか、悩ましいところです。コンピュータで出版物を作るようになって、字形についていままで以上に知識が必要になって、もう、たいへんです。

**「篇」と「編」は別の区点位置にあります。念のため:-)
☆ フォントの中で異体字はそれぞれ別の区点を与えられています。(4月27日訂正)

しかし、このエッセイ集では、「短編」が普通の字種・字体(上の図の左から2番目)で印刷されているところもあります(83ページ)。ですから、小川さんご自身がとても字体にこだわって、異体字を使うように指示しているようには思えないんです。収録されているエッセイはさまざまな時期、さまざまな雑誌・新聞に発表されたものですから、それぞれの編集方針にもよるのでしょう。

ひょっとすると、小川さんが古いワープロで執筆されている***ことの影響かも知れません。

***「されていた」? いまはもうコンピュータに移行されているかな?

2 件のコメント:

レスポワ さんのコメント...

おお!
これは本当に下がっていますね。
字体の種類が多いのは、いろいろオリジナリティを出して、こだわれるという分ではいいのでしょうが、校正する方は大変ですね。
しかも、画面で見るのと、出力したものと違って見えたり、これはデザインされる方も同じことで悩んでいそうですが、恐ろしく細やかさの要求される作業なんでしょうね。私には不可能です。校正は向いてない。。。

tac さんのコメント...

タイトルをちょっと変えました。
その事情は、4月25日付「Re:悩ましい字体:難儀な事態」へのふかざわさんのコメントをご参照ください。